技術コラムの第9回として、シリーズ「バイオマスガス化とタールの科学」の第5回「タールが着いた先 ― エンジンの中で何が起きているか」を公開しました。
前回は、タール対策が効いているかどうかは測ってみなければ分からないこと、そして測る場所の基本はガス化設備とエンジン設備の受け渡し部であることを解説しました。今回は視点をエンジンの側に移し、炉の中で分解しきれず、除去装置でも取りきれなかったタールがエンジンの中で何を引き起こすのかを、燃料ガスの通り道に沿って追いかけます。エンジンが正常に回るための三つの条件(清浄な混合気・十分な圧縮・強力な火花点火)を軸に、給気系への付着、過給とインタークーラーが重なる場所での凝縮、弁とピストンのまわりの堆積と圧縮の喪失を整理しました。
後半では、ノッキング、過早着火、逆火(バックファイア)といった異常燃焼のしくみを整理したうえで、実際のガス化CHP設備のトラブルに当てはめたとき、何が確かめられ、何が確かめにくいのかを表にまとめています。原因をタールだけに帰さないこと、堆積物には潤滑油に由来するものも混ざること、潤滑油の交換間隔や保守を通じて設備全体の稼働率にまで影響が及ぶことにも触れました。
本シリーズは、大阪大学名誉教授(燃焼工学)の香月正司先生に監修をいただいています。次回はシリーズの最終回として、「ガス化炉とエンジンは、なぜ相性が悪いのか」をテーマに取り上げる予定です。
【第9回】タールが着いた先 ― エンジンの中で何が起きているか(バイオマスガス化とタールの科学 その5)を読む
あわせて、シリーズ第1回「ガス化炉の中で何が起きているか ― タールはなぜ生まれるのか」(技術コラム第4回)、第2回「タールを分類する ― 一次・二次・三次タールと露点」(技術コラム第5回)、第3回「タールとどう付き合うか ― 炉の中で分解するか、炉の外で取り除くか」(技術コラム第6回)、第4回「タールを測る ― ガスのどこで何を測れば炉の状態が分かるのか」(技術コラム第7回)、および単発記事「バイオ炭とは何か ― 炭にして土に戻すという考え方」(技術コラム第8回)もご覧ください。

